ギャングスタが斬る!

現役ギャングスタが時事問題その他を斬ります

ギャングスタが斬る!TOP


忍ぶれど篠笛よ~甲音の誘い

篠笛はいいぞ

プラスチック製の篠笛を買いました。
SUZUKIののSNO-02という七本調子です。
このような布製の袋に入っております。

f:id:taketakeyoujo:20180126205510j:plain

 

こちらが本体です。

f:id:taketakeyoujo:20180126201314j:plain

 音が……でない?

ぼくが買ったときはsoundhouseさんで2000円くらいとリーズナブルなお値段でした。

今見たら更に安く1400円くらいになっていてファッキンとても素晴らしいですね。和楽器は異常に高くて普及させる気あるのかと思うものが多いですが篠笛は竹製でも5000円くらいで買えます。

七本調子はC調にチューニングされているのでCメジャー、Aマイナー、Gメジャーペンタ、Eマイナーペンタ、Fメジャーペンタ、Dマイナーペンタで吹くことが出来ます。

ぼくは自作曲の中で吹こうと思っていたのですがその曲がEマイナーペンタなのです。

 

このような説明書がついていましたがこれが恐ろしく不親切です。

f:id:taketakeyoujo:20180126211037j:plain

  • 運指表の黒丸と白丸どちらが塞ぐ方なのか書いていない(黒が塞ぐ方です)。
  • 甲音、大甲音の出し方が書いていない
  • 左下の笛の持ち方に至っては出鱈目です。右手の親指どこ行ったんでしょう。親指で押さえずに吹くことなど不可能です。

そう言ったところはググって自分で調べるしかありませんでした。

 

さて早速意気揚々と吹いてみました。

はい、音が出ません。

笛吹けど踊らずどころか笛吹けど鳴らずです。

すかしっ屁のようなシューシューという息の音が祇園精舎を吹き抜ける風のように空しく響き渡るのみです。諸行無常をあらわすにはいいでしょうが、それしか出来ないのは困ります。

何度も何度も吹いてみます。口を「イ」を発音するときのように軽く左右に開き、隙間をなるべく狭くして、下唇の下の境目を歌口の縁に当て、斜め下方向に息を吹き、笛を回転させて音が鳴るポイントを探る……

 

鳴らねえよ

ドとレとミとファとソとラとシの音がー出なーいー……

やはり盛者必衰の理をあらわす風の音が鳴るばかりです。

鳴らない鳴らないとは聞いていましたがここまで鳴らないとは思いませんでした。このままでは篠笛ではなく死の笛です。

リコーダーやオカリナなんかは息を吹き込めば綺麗汚いは別としてとりあえず音は鳴りますが、篠笛は息を当てる場所、角度、吹き込む勢いなど微妙な加減が必要で、それらが複合的にかみ合ったとき、天からの啓示のように音が舞い降りてくるのです。

 

 

 

 

呂音と甲音、大甲音

なのでその加減を知るためにはひたすら練習しかありません。酸欠状態になって多少意識が遠くなりながらもただひたすら吹くのです。そうすると、たまに音が鳴るときが出てくるのです。

個人的には三の音(ミ=E)が一番出やすいと思います。その時の音が鳴っている感覚、笛が震えている感覚が体に染みこむまでひたすら吹いてみるのです。するとその「たまに」の頻度がだんだんと多くなってきます。

少しでもいいから毎日吹くというのが肝要です。逆にあまり長時間吹いていても疲れるし良い結果にはつながりません。ぼくは一日五分ほど吹いていたら三日目くらいからだいぶ音が出るようになりました。安定して出せるようになったのは二(レ=D)、三、五(ソ=G)、六(ラ=A)、七(シ=B)です。四(ファ=F)はEマイナーペンタでは使わないのであまり練習しませんでしたがこれも出ます。

しかしすべての穴を塞いだ筒音(下のラ)と一(ド=C)が出ません。この辺りはまず使うことはなさそうですが、やっぱり出せるようにはしておきたいです。音が出たと思ったら呂音ではなく甲音になってしまいます。

 

呂音とは一番下のオクターブ音域で、甲音はその上のオクターブ、大甲音は更にその上の神の領域です。

篠笛は同じ運指でも息の吹き込み方で呂音と甲音が変わるという楽器です(大甲音は運指が違う)。運指は同じ「ミ」のままで、息の吹き込み方でオクターブが上がり下がりするのです。

呂音の低い方、筒音と一の音は呂音のつもりなのに甲音が出てしまいます。

 

そして呂音が出るようになった二の音以上の音域は甲音に挑戦です。コツは頬を「アンパンマンのように」する、口の隙間をさらに狭める、息を強く吹く等です。息を当てる角度も変わってきます。これも呂音同様出るようになるまでひたすら吹くしかありません。何度も何度も、出るまで吹く。何度でも、何度でも……。

 

そうしてふとした時に出た甲音の神々しきカタルシスといったら筆舌に尽くしがたい感動を与えてくれます。草原に吹く一陣の風、夜の闇を引き裂く一筋の霹靂、高天原から降りてきた天女の舞……

甲音は篠笛の華です。ここを吹きこなせればだいぶ楽しいことでしょう。柳田国男が「遠野物語」序文で「笛の調子高く歌は低くして側かたわらにあれども聞きがたし。」と言った情景が蘇ります。最初呂音を出しながらそれをシームレスに甲音に変えていくなんてことも出来ます。

更にその上の大甲音といったらどんなエクスタシーをくれるのかと思うと楽しみで仕方がありませんがここは神の領域なのでそう易々とは出せないことでしょう。

まずは甲音です。2と3の音はかなりの確率で出せるようになりましたがそれ以上は出たり出なかったりです。高い音になるほど強く吹いた方が良いようです。

ぼくの曲では大甲音の3まで出せないとだめなので道のりは険しそうです……。

 

さらに深淵へ……

篠笛ではタンギングは使いません。なので同じ音が続く場合は指をはねるようにしてトレモロのようにしてやります。これだと一瞬別の音が入るわけですがこれが篠笛や龍笛といった和楽器特有の味になります。これをやってみたとき思わず「あっ、これだ」と思いました。

 

姫神リードです。

 

ぼくは姫神が好きなのですが、姫神のシンセリードの特徴、一瞬ピッチベンドを上げた状態からすぐに戻す手法による笛っぽさ。あれがこの指を跳ねる手法で再現されるのです。いや逆ですね。姫神リードが笛を再現しようとしていたのでしょう。これはなかなかに感動的でした。

 

他にも「メリ音」「カリ音」と言い吹きながら笛の角度を変えることでシンセのピッチベンドをゆっくり動かすように微妙に低め、高めの音にしたりとか篠笛は色んな手法があって奥深いです。

 

だからこそ篠笛は面白いです。なにより篠笛に限ったことではなくすべての芸事やスポーツなどに通じることですが、少しずつ上手くなっていくのはとても面白い。

興味を持たれた方は是非篠笛をやってみては如何でしょうか。

思い立ったら吉日、Amazonのアフィリンクを貼っておくのでここから買ってください。そうするとなんと貴方の家に篠笛が届くのです。

 

 

いつ無くなるかわからないですから、今すぐポチってください。さあ、早く!