元号、西暦、皇紀
世間は新元号令和の話題で持ちきりである。
この元号がかっこいいかどうかとかは今は問題にはしない。個人的にはダサいと思うがいいと思ってる人もいるし、感じ方はそれぞれだ。
しかしながら元号は必要なのであろうか？ いや正確に言うと使うべきなのか？
誤解無きようにお願いしたいのは小生は反天皇でもなければ日本の歴史を否定するわけでもない。「対米追従の安保法案は大東亜戦争の価値を貶めるから反対」と思っているような人間である。
小生の運転免許証は平成34年まで有効となっている。更新したのは平成29年の確か2月で、このときはまだいつ今上天皇が生前退位するかは決まっていなかった。そもそも生前退位するしないにかかわらず平成がいつまで続くかなんてわからないのに元号表記する必要があっただろうか。数年単位での未来の日付を記すのに元号は向いていないのである。
別に元号はあってもいい。昭和生まれだの平成生まれだのといったイジりは楽しいし、古来から続いているものをなくするのももったいない。「明治○年に○○が導入」などと言われれば「江戸から明治になって○年でこうなったのか」とイメージがつかみやすい。
共産党は「慣習による使用には反対しないが法律での使用強制には反対」と言っているが、それでいいと思う。
ではどうすればいいのかとなると西暦となるわけだが、キリスト教国でもないのに西洋の制度を無批判に使うのも癪である。
ここで浮上してくるのが皇紀であるが、これは神武天皇が即位したとされる（キリスト）紀元前660年を元年としたもので、2019年は皇紀2679年となる。
これの難点はあたかも神武即位以前に日本はなかったかのように見えることだ。
統一国家としての体を一応は為すのは神武以降であろうが、ではそれ以前に日本はなかったのかと言えばそんなことは無いと思う。一万数千年に及んだ縄文時代こそが日本文明の根底にあるのは間違いないし、神武即位どころか天孫降臨よりはるか前に國譲りをした出雲にも日本の源流のようなものは求められる。出雲を治めた大国主命の祖先は素戔嗚尊で、天照大神の弟で伊弉諾の子である。現在も続く出雲国造家には天皇と同じくアマテラスの血が流れている。小泉八雲は出雲を「日本民族揺籃の地」と言っている。天孫族だけが日本ではない。
なので西暦の紀元前のように皇紀にも紀元前を設けて欲しいのである。実際にそれを使うことはほぼないであろうが、かたちだけでも設けることで、「神武以前」を認めて欲しいのである。
しかしながら今更皇紀を覚えその感覚に馴染むなどは至難の業であろう。敗戦の年は何年、自分の生まれた年、小学校に入学したのは何年とぱっと思いつき、西暦や元号と対応させられるようになるには幼い頃から使っていないとならない。
結局は西暦を使うのが、悔しいが最も妥当なのであろう。
